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ビュティフルレイン 第12話(最終話) [豊川さん]

ビュティフルレイン 第12話(最終話)

朝、圭介と美雨が二人で洗濯物を干している。
突然美雨が「ねぇ、父ちゃん。父ちゃんの夢って何?」と尋ねる。
「父ちゃんの夢?それは・・・美雨が毎日明るく元気に
大きくなってくれること、かな?」
「それだけ?もっと、父ちゃんが父ちゃんの為に
してみたいこととか、ないの?」
「なんで、そんなこと聞くんだ?」
「美雨は、いつも父ちゃんに色々してもらっているから
たまには美雨が父ちゃんの為に何かしてあげたいの。
もし父ちゃんの夢があるなら、美雨が叶えてあげたい。」
「急に、そんなこと言われても…」と圭介が言うと
美雨は「う~ん、じゃ、考えておいて」「わかった。」
「今日中だよ」「今日中?」「うん」と言って笑う美雨。

中村家では、富美夫と千恵子がケンカしている。
「お祭りの実行委員長?」
「今年の実行委員長は肉屋のたかし君だったんだけど
急に盲腸で入院したらしくってさ、代役頼まれちまった。」
「まさか?引き受けたの?」
「困った時は、お互い様だろ?盲腸で入院してる奴に
実行委員長が務まるか?」
「今年はバザーの当番なのよ。」
「だから?」
「実行委員長は断って!」
「男が一度、引き受けたもんを断れるか!」
「バザーの当番と飲食屋台を仕切る実行委員長、両方やれると思う?」
大声を聞きつけたアカネが顔を出して「どうしたの?」と聞くと
千恵子が「どうもこうもないわよ」と言い
富美夫は「大丈夫だよ。アカネにも手伝ってもらうから」と言う。
千恵子は更に「ダメよ~!アカネにはバザーの方、手伝って
貰うんだから。」と言うが、訳の分からないアカネは
「ちょっと待ってよ。何の話?」
「今年のお祭り。」
「アカネには俺の右腕として、実行委員長の補佐、やってもらう」
「勝手に決めないでよ!」
「ちょっと!あたし、何も聞いてないよ~?」
「聞いてなくたって、手伝うの当たり前だろ!」
「そうよ!あんた、この町内の一員なんだから」
「えぇ~?!」
そこへ圭介がやって来て「おはようございます。どうしたんすか?」

工場で明生が「で、結局どうなったんすか?」と圭介に聞いている。
「社長が実行委員長、奥さんがバザーの担当をそれぞれやるみたいで…。」
「アカネちゃんは?」と宗さんが聞くと
「なんだかんだで結局、両方手伝うみたいですよ」
「うわ~!大変すね!」と明生が言うと、宗さんが
「大丈夫だよ。中村産業は毎年、焼きそば屋台、担当して来たんだから」
と言うが、明生が「焼きそばの屋台一つと、屋台全部、それにバザーまで
つけるのは大違いじゃないっすか!ねぇ、圭さん。」と珍しく
まともなことを言うが、考え込んでいる圭介を見て
「どうしたんすか?」と声をかける。
「明生、夢、あるか?」と思いがけないことを聞く。
「夢?」
それを聞いた宗さんは「俺の夢は万馬券取って、ハワイに行くこと」と言い
「ハワイ、いいっすよね。」と明生が言うので
「お!行ったことあるのか?」と宗さんが聞くと
「あるわけないじゃないっすか!TVで見ただけっすよ」
「なんだよ~!紛らわしい事言うな」
「すいやせん。で、夢がどうしたんすか?」
「ん?いや、ちょっと。」と微笑む圭介。

病院では古賀が英文でメールを打っている。
「返信が遅れて、申し訳ありません。
アルツハイマー病研究チームに合流の件ですが
来月から、お世話になります。
被験者が同行するかについては、もう少し考えさせて下さい」
と書いて送信する。
圭介のカルテを見ている古賀先生。

圭介は仏壇の妙子の写真に向かって考えている。
「そうだ!そうしよう!」
美雨が「父ちゃん、ご飯だよ」と呼びに来る。
「美雨。父ちゃん、決めた!父ちゃんの夢は美雨と旅行に行くことです。
どうしても美雨に見せたいものがあるんだ。
父ちゃんの夢、叶えてくれるか?」
「うん」と言って嬉しそうに笑う美雨。それを見て笑う圭介。

「えぇ?二人で旅行に?」と千恵子が聞く。
「はい。出来たら今度の3連休にでも。」と圭介が答えると
「二人きりで?」とアカネ。
「うん。」
「今度の月曜は、まつりだぞ」と富美夫。
「えぇ。だから申し訳ないんですけど、土曜に行って
日曜には帰ってこようかと。」
「じゃ、いつもの焼きそば屋台は、担当してもらえるんだな?」
「もちろんです。」
「圭さんの焼きそば、旨いんだよ~!」と富美夫。
「それはいいけど…大丈夫なの?」と心配して千恵子が聞くと
「細かく予定表も作って、旅先からマメに連絡を入れますんで。」と
圭介が言い、美雨も手を合わせて
「お願い。父ちゃんと二人で行かせて」と頼む。

圭介たちが部屋に戻り、富美夫たち三人が話している。
「気持ちはわかるけど、ホントに大丈夫かなぁ?」
「う~ん、旅先で、もし何かあったらねぇ…」
「だけど圭さんの気持ちも考えると・‥。今のうちに
美雨ちゃんと二人で楽しい思い出を作っておきたいって
ことなんじゃない?」とアカネが言い
「あぁ、なるほどなぁ」と頷く二人。

部屋に戻った美雨と圭介も話している。
「箱根?そこに見せたいものがあるの?」「そうだ。」
「ねぇ、見せたいものって何?」
「それは、行ってからのお楽しみ。」と美雨の鼻をつまむ圭介。
「う~ん、いいじゃん。教えてよぉ~!」
「ほら、もう寝ろ。おやすみ。」しぶしぶ美雨も
「おやすみなさい」と言って眠りにつく。
その後、仏壇の妙子の写真を見て、微笑んでいる圭介。

古賀が歩いている。
中村産業から、声が聞こえる。
「じゃ、こうしよう。俺と圭さんと二人で焼きそば。
明生は射的に綿菓子。」と宗さんが言う。
「ちょっと、待って下さいよ。なんで、そっちは二人で1つで
こっちは一人で2つやんなきゃいけないんすか!」と異議を唱える明生。
「だってしょうがねぇだろ。人手不足なんだから。」と宗さんが答える。
それを聞いたアカネが「じゃ、あたしが圭さんの焼きそば手伝うから
二人で射的と綿菓子、担当すれば?」と言えば、千恵子が
「何言ってのよ~!バザーも人手不足で困ってんのよ!」と言い
見かねた圭介が「じゃ、俺が焼きそばやりながら、時々バザー
手伝いましょうか?」と言うと、千恵子は
「いいの。圭さんは、慣れてる焼きそばだけで。」と言い
「だけど、このままじゃ、いつまで経っても、担当
決まらないじゃないっすか。」と圭介が言えば
宗さんが「待てって。俺が今、話まとめるんだから。明生、我が儘
言わないで、射的と綿菓子、両方やれ!」
「一人で二つは無理っすよ。」
「圭さん、一人にするわけには、いかねぇだろ!」
「じゃ、宗さん、やって下さいよ。俺が圭さん手伝いますから。」
見かねた社長が「よーし、わかった。俺が実行委員長やりながら
圭さんの焼きそばを手伝う。これでどうだ」と言う。
圭介は「あの、焼きそばくらい、一人で大丈夫ですから」と言うが
「圭さんは、黙ってろって。俺が今、話まとめてるんだから。」
「宗さんが黙った方が話、早くまとまるんすよ」
「なんだと!このやろう!」
紅白の垂れ幕を明生に投げつける宗さん。
「なんすか!ちょっと」投げ返す明生。
「キャ~!」
「先生!」と古賀に気付いたアカネが声をあげる。
古賀が頭を下げると、圭介も「どうしたんすか?」と声をかけた。

部屋で古賀と向かい合って座る圭介。
「アメリカに?」
「はい。新薬の開発チームに参加してみないかって
ずっと誘われていたんですが、ようやく決心がつきまして…。」
「新薬って?」
「アルツハイマー病の新薬です。アメリカで根治を目指している
チームがありまして、もちろん、簡単に行かないことは
わかっているんですが、参加してみようかと。」
「そうですか。」
「ですから、今月いっぱいで病院の方は…。木下さんの担当は
信頼出来る後輩に託しますので、ご安心下さい」
「それを伝えるために、わざわざ?」
「実は、気になっていたんです。木下さんと美雨ちゃんが
皆さんと、どんな風に暮らしてるのか?正直、親戚でもない人達と
同居すると聞いた時は少し驚きました。ですが、ここに来てわかりました。
中村産業の皆さんは、木下さんにとって、本当に家族同然だったんですね。
実は、私の兄が木下さんと同じ病気だったんです。さっきの皆さんを見て
自分たち家族も、あんな風に前向きに兄を支えてやれたら良かったのにって
今更ながら思いました。木下さんのように頑張っている人を一人でも多く
救う為にアメリカで頑張って来ます。新しい薬の開発に成功したら
真っ先に連絡しますから。」
「ありがとうございます」
頭を下げ合う二人。
「失礼します」アカネが入って来た。
「あの、母がこちらを。今、お茶を淹れますね。」
と皮をむいて食べやすく切った梨を出すアカネ。
「もう、お暇しますので、どうぞお構いなく。」
「父が、もし宜しければ、お食事でもご一緒にと。」と言うと
「ありがとうございます。皆さんにもよろしくお伝え下さい。」
と答える古賀。
笑顔で頷くアカネ。
「先生も頑張って下さい」と言う圭介。頷く古賀。

二人でベランダに居る、アカネと圭介。
「出来るといいね。新しい薬。」とアカネが言うと
「出来たらいいな。だけど俺は、今、出来る事を毎日、精一杯
やっていくしかないから。」
頷いたアカネは「悪くないね。こっち側からの景色も。」と
向こうを向いて言う。
圭介はアカネの方を見て「うち、禁煙だよ。」
「タバコ、止めたもん」圭介を見て言うアカネ。
「ホントかよ。」
「ホントだよ。」
笑い合う二人。
「ただいま~」美雨が帰って来た。
「お帰り。」「美雨ちゃん、お帰り。」
「あれ?アカネちゃん、どうしたの?」
「旅行の荷造り、手伝ってあげようかな~と思って。」
「ほんと?父ちゃん、早く荷物、準備しよう!」
「おう!手帳に予定表も書かなきゃな。」
「うん、早く!早く早く!」

翌日。
「じゃ、行ってきます。」
「行って来マンモス」と、おどける美雨。
「気を付けてな。」「ホントにマメに連絡入れてね。」
「はい。」
「でも心配だなぁ。俺も付いて行こうかな?」
「余計心配だよ」
出かける二人を見送る、中村産業の面々。
「楽しい思い出、沢山出来るといいね。」とアカネが言うと
「二人で旅行するなんて、これが最後かもしれねぇもんなぁ。」と
社長も話している。

バス停でバスを待つ、美雨と圭介。
「来ないね。電車の時間、間に合う?」
「うん、まだ充分間に合うよ。」「良かった」
中学生くらいの男の子と女の子が仲良く話しながら、通りかかる。
それを見ている圭介。

「15歳の美雨へ。
美雨、誕生日おめでとう!15歳と言えば、中学三年生。美雨にも
そろそろ好きな男の子が出来る頃ですね。美雨がどんな男の子を
好きになるのか、すごく気になるけど、実際に、その男の子を見たら
父ちゃんは嫉妬してしまうかもしれません。でも、誰かを好きになる
というのは、とても素敵なことです。恋をすると、ドキドキしたり
わくわくしたり、胸が締め付けられそうになったりします。だけど
美雨が好きになった相手が必ず美雨の事を好きになってくれるとは
限りません。時には失恋して傷付き、泣きたくなる日もあるでしょう。
だけど美雨には、傷つくことを恐れないで、いつも自分の気持ちに
正直に生きて行って欲しいです。どんな時も自分に正直に生きていれば
例え傷付いても、きっと美雨の将来に役に立つと思うからです。」

列車に乗り、車窓を楽しそうに眺めている美雨。
美雨を見つめている圭介の視線に気付き「な~に?」と尋ねる美雨。
「楽しいか?」「うん」笑顔で答える美雨。
微笑む圭介。

中村産業の皆は、お祭りの準備に大わらわ。
「やっぱり付いて行った方が良かったのかなぁ?」
「心配し過ぎだって。」
「ま、箱根なんて、いざとなったら走って行けるんすから」
「走って行ける?」
「ほら、大学生がよくお正月に走ってるでしょ?」
あきれるアカネ。
「時々、猪が出るんだぜ。箱根の山ん中は。」
「やだ!ホント?」
「猪注意って標識もあるんだぜ。」
「ええ~!?」
そこへ春子と小太郎、菜子がやって来る。
「こんにちは。バザーの商品、持ってきたよ」
「ご苦労さん。」「待ってたホイ」

箱根湯本駅に着いた美雨と圭介。
バスの時刻表を見ていると美雨が「ねぇ、父ちゃん、喉渇いちゃった。」
「何か買ってきてやろうか?何がいい?」「う~ん、オレンジジュース」
「よし、じゃここで待ってろ。」と言って、自動販売機に向かう圭介。
ところが自動販売機を前にしても、ジュースの買い方を思い出せない。
圭介の様子を見ていた美雨がそばに来て「どうしたの?」と聞く。
「これ、どうやって買うんだっけ?」
美雨は一瞬息を飲むが、すぐに笑顔になって「お金、貸して」と言い
「ココにお金を入れて、オレンジジュースのボタンを押す。ほらね。」
と圭介の顔を見て言いながら、オレンジジュースを買ってみせる美雨。
開けて飲み「美味しい!父ちゃんも飲む?」
「うん、ありがとう」と言って、圭介もジュースを飲んだ。

三人で食卓を囲む中村家。
「やっぱり寂しいね~」
「何言ってんだ。これまでは、こうやって三人で食べてたじゃないか。」
「だけど~」
そこで、電話が鳴る。
慌ててアカネが出ると
「はい。中村産業。圭さん?無事、着いた?」
「うん、さっき旅館に。これから風呂にでも入ろうかと思って。」
「あぁ、良かったぁ。美雨ちゃんは?」
「うん、元気だよ。」
無事を喜び合う三人。
「さて、こうなると、アカネに、ちょっと話があるんだ。昼間電話で
信用金庫の理事長と話してたら、お前の話になって、働いてみないかって。」
「あたしが?信用金庫で?」
「まぁ、とりあえずは臨時雇いっていう形になるそうなんだが、ゆくゆくは
正規雇用も考えてくれているらしい。」
「工場の経理を手伝ってもらうのは大助かりなんだけど、あんただって
いつまでも、こうしてるわけには行かないでしょ?」
「ちゃんと第二の人生を踏み出す為にも、いい機会だと思うけどな。
どうだ??」
「ありがと。いろいろ心配してくれて。ちょっと考えてみるね。」
「まぁ、どうしてもって話じゃないからな。」
「うん、気軽に考えればいいからね」と話す二人。
夜、一人ベランダに出て、タバコを出そうとして、誰もいない
灯りの消えた、木下家のベランダを見るアカネ。
タバコをしまう。何かを決めた表情のアカネ。

旅館の布団の上で、あや取りをしている美雨。
「出来た!ゴム!次は箒を教えて。」と言う美雨。
圭介は「それは又、明日。もうそろそろ寝なきゃな。」と言い
紐をまとめる。
「ねぇ、父ちゃん、明日見せてくれるものって何?」
「いいもの。」「な~に?」「まだ教えな~い。」「なんで~?」
「その代わり、父ちゃんのもう一つの夢、教えてやろうか。」
「もう一つの夢?」「美雨の花嫁姿を見る事。」「花嫁姿って?」
「美雨の結婚式だよ。」
「結婚式って、どうやるの?」
「よし、教えてやる。立て。」
二人で部屋の隅に行き、圭介が説明する。
「いいか、花嫁さんの美雨は、父ちゃんと腕組んで
ヴァージンロードっていう赤い絨毯の上を歩いて入場するんだ。
わかったな。」「うん」「よし。」
「美雨、結婚おめでとう。」「ありがとう」
「そういう時は『長い間、お世話になりました』って言うんだ。」
美雨は頷くと正座して「父ちゃん、長い間、お世話になりました」と言い
頭を下げる。
圭介は美雨を見つめ「幸せになれよ。」と思いを込めて言い
「うん。」としっかり頷く美雨。
「皆様、お待たせいたしました。新婦の入場でございます。」
美雨は少し離れて「よ!待ってました!」と声を上げて拍手すると
すぐに圭介の隣に戻って、結婚行進曲を口ずさむ圭介と
腕を組んで、ゆっくりと歩き出す美雨。
しかし、圭介は少し歩いただけで止まってしまう。
「やっぱりだめだ。結婚式は中止しよう。」
「どうして?」「父ちゃん、やっぱり美雨をお嫁に行かせたくない。」
「え?」「父ちゃんは美雨を一生離さないぞ。」
「やだ。結婚式の続きやる。」「ダメだ!」「やだ!」
「どうしても結婚したいって言うんだったら…」と言って始まったのは
お決まりのくすぐりっこ。
「どうだ!まいったか。お嫁に行かないって言え~!」
「や~だ~」と笑いながら言う美雨。
布団に入って眠る美雨。

「18歳の美雨へ。
誕生日おめでとう。進路は、もう決めましたか?18歳の美雨が
どんな勉強をしているのか、それとも、もう社会に出て働いているのか
残念だけど今の父ちゃんにはわかりません。だけど美雨がやってみたいと
思ったことは全部やってみたらいいと思います。相談にも乗ってやれなくて
申し訳ないと思うけど、美雨ならきっと自分で自分の道を決め、夢を持って
生きて行ってくれると信じてます。」

翌日、中村家では、富美夫が射的の銃を手入れしている。
ガチャッと音がして、ビックリする千恵子とアカネ。
その時、電話が鳴って千恵子が出る。
「あ、圭さん、おはよう♪」
「おはようございます。今から旅館出ますんで。」
「あ、じゃ、芦ノ湖回って、電車に乗って帰って来るのね。」
「芦ノ湖出る時、又、電話します。」
「じゃ、電話待ってます。気を付けてね。」
電話を切り「よし、じゃ行こう」と美雨に声をかける圭介。
「芦ノ湖行くの?そこに美雨に見せたいものがあるの?」
「しょうゆうこと。」

橋を通る時に走り出す美雨に「美雨、走るな。危ないぞ。」
と言ったのだが、やっぱり楽しくて走りだし転んでしまう美雨。
慌てて美雨に走り寄った時、圭介の首にかけていた手帳のひもが切れ
予定を書いてある手帳が川に落ちてしまう。
川に降りて、取ろうとするが流れて行ってしまったらしく見付からない。
「ごめんなさい。大事な手帳だったのに。」と謝る美雨に
「気にすんな。大丈夫だよ。」と言う圭介だったが
何か様子が変だ。「父ちゃん?」美雨が声をかけると
「美雨、父ちゃん、どこへ行くって言ってた?」と言う圭介。
美雨はハッとするが、笑顔で
「芦ノ湖だよ。芦ノ湖に行くんだよ。」と答える。
「芦ノ湖行って、何するって言ってた?」
「美雨に見せたいものがあるんだよ。」
「見せたいもの?」
「忘れちゃった?」
「忘れちゃった。」
「芦ノ湖まで行けば、きっと思い出すよ」と圭介の手を取り
歩き出す美雨。
バス停に着くが、次のバスまで1時間以上ある。
「どうする?」
「歩いて行こう。美雨、大丈夫か?」
「ダイジョウブイ」
手をつないで歩き出す二人。

中村産業では千恵子が「そろそろ芦ノ湖に着いた頃かなぁ?」
「猪に出遭ってなきゃな。」
「やめてよ。もう。」
そこにアカネが来て「昨日の話、よく考えてみたんだけど」
「おぉ、信用金庫の話か?」
アカネは頷き「お断りさせてもらってもいい?」
「どうして?」
「ちゃんと勉強してみようと思って。介護福祉士を目指してみようと
思うの。」「介護福祉士?」「そっかぁ」
決意を固めた顔のアカネ。

二人で歩いている圭介と美雨。
美雨を気遣う圭介に「ダイジョウブイ」と答える美雨。
圭介が美雨を背負って歩き出すと、雨が降り出した。
「あ!雨だ。きれいな雨だねぇ。父ちゃん?」
その時、美雨が生まれた時の妙子との会話を思い出す圭介。
「思い出した!父ちゃんの夢。美雨と一緒に、美雨が生まれた場所に
行くんだ。」「美雨が生まれた場所?病院じゃないの?」
「うん、行こう。」
しばらく歩いていると雨も上がり、陽が差して来た。
芦ノ湖を差す標識に従って歩くと湖が見えてきた。
「湖!あれ芦ノ湖?」「うん。」「早く行こう!」と下してもらって
走り出す美雨。
湖の畔に座って話す圭介と美雨。
「父ちゃんがママちゃんにプロポーズした場所なんだ。」
「プロポーズ?」
「父ちゃんとママちゃんが、ずっと一緒にいようって約束した場所を
どうしても美雨に見せたかったんだ。」
「それがここ?」
「父ちゃんはママちゃんが大好きだったから、ずっと一緒に
居たいと思った。ママちゃんも父ちゃんの事を好きになってくれて…
だから、美雨が生まれた。」
「二人とも大好きだったから?」
「うん、美雨が生まれた日、父ちゃんとママちゃんは
嬉しすぎて泣いちゃったんだ。」
「大人なのに?」
「うん、その時、父ちゃんは、この子に出逢う為に今まで生きて
来たんだって思える位、幸せだった。命に代えても、この子を守りたい
守って行こうって決心した。その気持ちは今でも変わっちゃいない。
美雨が初めて立った日、初めて歩いた日、父ちゃん本当に幸せだった。
美雨は父ちゃんとママちゃんの愛の結晶だ。誰よりも愛されて生まれて
今まで育ってきた事を忘れないで欲しいんだ。」笑顔で頷く美雨。
「これから先、悩んだり苦しんだり、時には泣きたくなる位、悲しい
気持ちになることもあるかもしれない。そんな時は、ここに来て
思い出して欲しいんだ。美雨は一人じゃないってことを。世界で一番
愛されて生まれて来たってことを。それさえ思い出せば、美雨は
きっと又、頑張れる。前を向いて歩いて行ける。例え、父ちゃんが
何もかも全部忘れちゃったとしても。」と話すと美雨は
「大丈夫。美雨が全部、覚えておいてあげる。父ちゃんが美雨の事を
忘れちゃっても、美雨は父ちゃんの事を忘れないから。そしたら
父ちゃんは、いつまでも美雨の父ちゃんでいられるでしょ?だから
ダイジョウブイ!」と笑顔で答える美雨。
圭介は、そんな美雨を抱きしめる。
大好きな父ちゃんに抱きしめられ、嬉しそうな笑顔の美雨。

箱根湯本駅に向かいながら、中村家に電話をしている圭介。
「今から電車で、こっちに向かうのね」
「夕方には、そっち着くと思う。帰ったら、すぐ祭りの準備手伝うから。」
「美雨も手伝う!」
「じゃ、待ってるから。気を付けてね」
OKと指で知らせるアカネに
「良かったね。」「良かったな、無事で。」と喜び合う
中村産業の皆。

帰りの電車の中で眠っている美雨に、上着をかけてあげる圭介。

お祭り当日。
大きな法被を着て「いらっしゃいませ。安いですよ~!」と
バザーのかわいい売り子さんをしている美雨。
春子や菜子もお手伝いしている。
春子に、お小遣いをねだり「美雨、あっち行ってみようぜ」と誘う
小太郎。「ダメだよ。今、お手伝いしてるんだから。」と言う美雨に
千恵子が「いいよぉ。美雨ちゃん、行っといで!」と言ってくれる。
富美夫が、働いている商店街のみんなの様子を見て回っている。
宗さんの射的で美雨はパンダちゃんを当てて、大はしゃぎ。
明生の屋台で、綿菓子を買う美雨と小太郎。
警官の健太も見回りに来て、「立花さん、ご苦労様です」と声を揃えて
言う二人に「ご苦労様です」と返してくれる健太。
圭介が焼きそばを焼いて売っていると、アカネが手伝いに来る。
美雨が「父ちゃ~ん、これ当たったんだよ!」とパンダを見せる。
「おぉ、かわいいじゃないか!」
「うぅ~ん、美味しい!」
「旨い!やっぱ圭さんの焼きそばは、サイコーっすね!」
と皆で圭介の焼きそばを食べている。
「やっぱりお祭りは、いいよねぇ。」
「今年は実行委員長がいいからな」
「あ!じゃ、来年は俺が実行委員長やろうかな?」
「無理無理。」
「あ、明生君、彼女は?どうしたの?」
「あ~、何か予定があるとか、ないとか?」
「ホントに居るのか?」
「居ますよ!」
「怪しいなぁ?」
「何言ってるんすか?勘弁して下さいよ!」
「全部妄想だったりしてな」
笑う皆。
中村産業の皆と美雨が並んでVサインのポーズを取り
写真を撮っている。

ベッドで眠る美雨の手をタオルケットの中に入れる圭介。

「20歳の美雨へ。
美雨、誕生日おめでとう!大人になって初めての誕生日。
父ちゃんからのプレゼントは受け取ってくれましたか?
もし、ちゃんと受け取ってくれたなら、それは恐らく、父ちゃんから
美雨への最後のプレゼントになると思います。
美雨、初めて自転車の乗り方を練習した時のこと、覚えてますか?
小学校二年生だった美雨は、転んでも転んでも頑張って立ち上がり
練習を続けましたね。あの時、父ちゃんが言った言葉、覚えてますか?
何か困ったことがあった時、どうしていいかわからなくなった時
下を向いてばかりじゃ、何も解決しません。自転車と同じように
前を向いて、ゆっくり少しづつでいいから前へ、前へ…です。
立派な人にならなくていい。お金持ちにならなくてもいい。今日も一日
精一杯頑張ったなと思えるような、明日が来るのが楽しみだと
思えるような、そんな毎日を生きて下さい。もしも、この世の中に
神様がいるとしたら、父ちゃんは1つだけ、美雨を幸せにしてやって
下さいとお願いします。」

二人で囲む朝の食卓。
家の中には、美雨が書いた、大きな張り紙があちこちに貼ってある。
黒板に今日の予定を書き込む明生に字が間違ってると言う宗さん。
勉強しているアカネ。
美雨は帰ってからも一生懸命勉強している。
夜、皆で食卓を囲みながら「やっぱり千恵子おばちゃんのご飯は
美味しいね」と言っている美雨。
笑顔の皆。

~終わり~

********************************

もしかすると、大きくなった愛菜ちゃんが研修医になって

父ちゃんが新薬で病気が治って。。。。なんて最終回になる?なんて

予想は見事に外れましたが、

圭介の病気は、確実に進行しているけれど

中村産業の皆が付いていれば、何とかやっていける。大丈夫。

そう思えるような、希望が見える最終回でした。

アカネちゃんと圭介のベランダでのシーンは、ドキッとしましたね。

アカネの存在は、今まで以上に圭介と美雨にとって

大きなものになって行くんだろうなと予感させるシーンでした。

そして、美雨の花嫁姿が見たいと結婚式をするシーンで

途中で止めると言いだした父ちゃん。

色々な思いがこみあげて来たんでしょうね。

翌日、ママちゃんとの思い出を語った圭介に

「大丈夫。美雨が全部、覚えておいてあげる。父ちゃんが美雨の事を

忘れちゃっても、美雨は父ちゃんの事を忘れないから。そしたら

父ちゃんは、いつまでも美雨の父ちゃんでいられるでしょ?だから

ダイジョウブイ!」と美雨が言ったところは、たまらなかったですね。

美雨ちゃんは、この夏だけで、どれだけ成長したのでしょうか?

そうならざるを得なかった部分もあると思うけれど

美雨ちゃんには、一緒に父ちゃんを支えてくれる皆がいるから

大丈夫ですよね。

きっときっと幸せになれると思いたいです。

そして新しいお薬・・・・早く出来るといいですね。

病という現実は、本当につらく苦しいものだけれど、このドラマでは

それと、どう戦うか?周りは、どう接して行けばいいのかという答えの1つを

教えてくれたような気がしています。

嫌な人が居なかった、このドラマ。

多くの人に日常の大切さ、家族を大切にしようという気持ちを

あらためて思い出させてくれたと思います。

豊川さん、愛菜ちゃん、他のキャストの皆さんも

本当にお疲れ様でした。



今回の写真は、先日、発売されたばかりの

ビューティフルレインのノベライズ本です。
beautifulrain12.jpg














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コメント 6

アルマ

読んでて涙が出てきました。
美雨ちゃんの優しい気持ち、周りのみんなの温かい優しさ・・・
本当に大切なものはなにか・・・って考えさせられますね。
by アルマ (2012-09-21 23:37) 

ともちん

途中から観たのですが、録画できずに終わりました。
こうして記事を拝見して、涙目になりました。
続きもありそうな含みを持って終わりましたね。
皆が明るく、一生懸命生きている素敵なドラマでした。
それにしても、豊川さん、格好良いですね。
思わず惚れてしまいそうになりました(◍´◡`◍)♡
by ともちん (2012-09-22 02:05) 

oko

人気のドラマでしたね・・
友人が絶賛してました。
by oko (2012-09-22 06:29) 

hatumi30331

見ましたよ・・・・。
by hatumi30331 (2012-09-22 07:36) 

未来

人間は悲しいものですね。
どんなに善良な暮らしをしていても、
過酷な病気になることだってあるのですから。
自分の身に置き換えて考え込んでしまいました。
by 未来 (2012-09-23 05:00) 

H.Kosuge

けっこう毎回観ていたのに、最終回を見逃してしまったのはいつものことで。
おかげで結末わかってよかった。
ありがとうございます^^

最初の方にあった美雨の名前の由来という話に伏線があったわけだ。
毎回涙が出そうになること多々、だんだん記憶を失っていって最後はもう見ていられないと思っていただけに、救われましたね。
by H.Kosuge (2012-09-29 23:14) 

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