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ビューティフルレイン第11話 [豊川さん]

ビューティフルレイン第11話

朝、洗濯機を回し、朝ご飯の目玉焼きを焼いている圭介。
美雨は自分の支度を済ませると洗濯が終わった事を知らせる。
朝ご飯の前に洗濯物を二人で干していると
沼津のおじいちゃんたちから荷物が届く。

さっそく開封すると手紙が入っており
「美雨ちゃんへ

おじいちゃんとおばあちゃんは
これからもずっと美雨ちゃんたちのみかただし
おうえんしているから、いつでもたよりにしてね。
またあえるのをたのしみにしてます。

おじいちゃん
おばあちゃんより」
という内容だった。
それを読んで美雨は「又二人で沼津に遊びに行こう」と言い
圭介も、にっこり笑って頷くのだった。

朝ご飯を食べながら圭介が美雨に
「夏休みの宿題、全部ちゃんと終わったのか?」と聞くと
「もうランドセルに入れてあります」「おぉ偉い!」
「上履きは?」「そこに洗ってあります。」
「サンキュー♪あと、明日体育あるから、体操着よろしくね。」
「明日、体操着。了解」と言うとメモ帳に記入する圭介。
ニッコリしながら見ている美雨。
その時、ドアをノックする音がして、千恵子が顔を見せる。
「おはよう!圭さん、美雨ちゃんも、朝ご飯終わったら
ちょっと家に来てくれない?新しいライフスタイルの提案をしたいの。」
と微笑みながら言う千恵子。
目を丸くして圭介を見る美雨。

二人で中村家に行くと、みんなが揃っていた。
「おはようございます」と挨拶して座り
「あの~、新しいライフスタイルって?」と圭介が尋ねると
社長が「いやいや。そんな大げさなものじゃないんだ。」
千恵子も「これから、圭さんや美雨ちゃんがどうやって暮らしたら
一番心配なくやっていけるのか、皆で相談したのよ。」と言い
「その為に、わざわざ早出を?」
「いやいや」「もう兄貴の為じゃないっすか」と
宗さんも明生も笑顔で言う。
アカネも「お母さん、発表して」
「うん。朝昼晩のご飯は、うちで食べてもらう。で、圭さん家の
掃除や洗濯や、ちょっとした買い物は、あたしとアカネが
手分けをして交代で、やる。」
圭介が「いきなりそこまでして貰わなくても・・」と言うと
宗さんは「いいじゃねぇかぁ。元々、仕事しながら、家事に育児に
大変だったんだから」と言い、社長も「職場も、もちろん、皆で少しづつ
手分けして、圭さんの負担を軽くしていこうと
こういうことなんだよ」と言い、千恵子が「美雨ちゃん、ど~お?
おばちゃん家で、ご飯食べるの嫌?」を聞けば
「嫌じゃないけど、美雨にもなんか手伝えることない?」と言う。
明生が「子どもの仕事は遊ぶこと」と言い、宗さんが
「遊んでばっかだと、こんな大人になっちまうけどな」と
明生を指して、皆が笑うのだった。
そこで千恵子が「じゃ、美雨ちゃんには全員分のお茶碗と、お箸を
揃えてもらう仕事、担当してもらおうかなぁ?」と提案すると
美雨が手を挙げて元気に「はい」と言って、又、皆が笑った。
圭介が「気持ちは嬉しいんですけど、まだ充分、今まで通り
やっていけるので・・」と言うと、アカネが「それは
わかっているけど、お互いの気の緩みが思わぬ事故を
起こす可能性だってあるでしょ?」と言い、圭介は美雨の顔を見て
「どうする?」と聞くと美雨は「皆で、ご飯食べたい」と言うので
社長が「じゃ、とりあえず晩飯は、ここで食うことにして、後は
様子を見て、臨機応変にやっていくってことで・・どう?」と言い
圭介も「はい。ありがとうございます。よろしくお願いします」と
答えたのだった。

朝、美雨が学校に向かって歩いていると、後ろから来た小太郎が
美雨のランドセルを叩いたので、思わず「うわ~」と大声を上げる美雨。
「もう~!小太郎~!」
「まいったぜぇ。昨日一日、夏休みの宿題、全っ部やらされてさ、バッテバテ。」
「毎日、コツコツやらないからよ」
「おまけに母ちゃんには、ちゃんと勉強して、大学行って、将来は
医者か弁護士か総理大臣になりなさいって・・。」と
うんざりした顔で言う小太郎。
「将来?小太郎、大学に行くの?」
「行くわけないだろう?俺、勉強大っ嫌いだもん。まぁ大学には行きたくても
行けないし…」と言うので「どうして大学に行けないの?」と聞くと
「知らないのか?大学って言うのは、ものすご~く頭がいいか
ものすご~く金持ちじゃなきゃ行けないんだぞ。現実は厳しいんだよ」
と言う小太郎に「そうなの?ふ~ん」と答える美雨。

職場では明生が「圭さん、これ俺からのプレゼントです。ジャーン」
と掲げたものを見て、宗さんは「なんだよ。黒板じゃねぇか」
「これに今日の業務内容とか書き込んでおけば、圭さん
いちいちメモを見なくても済むと思って・・・」と明生。
「なるほどね。偉い!じゃ、さっそく今日の業務内容、書いてみろ!」と
宗さんが言うと、明生は「はい」と答え、チョークを持って
思いついた!と言う顔で「しごと」と書いた。
宗さんは呆れ顔で「たったこれだけ?しかも平仮名かよ」と言うが
圭介が「ありがとう」と言うと、嬉しそうな顔を見せ
「どういたしまして。」と答える明生。

中村家。美雨が「ただいま~」と帰って来た。
「お帰り~。始業式、どうだった?」と千恵子が聞くと「皆に会えて
楽しかった。家族でハワイに行った、お友達もいるんだよ。」
「うわぁ~!お金持ちはいいよねぇ」と千恵子が言うと
「うちって、お金持ち?すご~いお金持ち?じゃないよねぇ?」
と聞く美雨に「え~?うふふ。だけど、美雨ちゃんが生活していくのに
困るようなことは、ないから大丈夫よ。」と答えた千恵子。
美雨が頷いていると「何か、買ってもらいたいものでもあるの?」
と千恵子が聞くが「うううん」と言って、アカネが二階に居ることを聞くと
美雨は二階のアカネを尋ねる。
「早く頭が良くなる方法?」
「美雨、どうしても早く頭が良くなりたいの。どうすればいい?」
「そうねぇ。でも、すぐに頭が良くなる方法は無いかなぁ?毎日、コツコツ
お勉強して、あとは本を沢山読めばいいんじゃない?」
「なるほどぉ~」と頷く美雨を見て、アカネは
「ねぇ、どうして早く頭が良くなりたいの?」と聞くが
「ちょっとね」と言って、美雨は微笑むだけだった。

中村産業の皆が、中村家に戻って来たが美雨が見当たらないので
圭介が聞くと千恵子が「うん、さっき、帰って来て
部屋で勉強して来るって。」と答えた。
「勉強?」なんでだ?という顔で圭介は、部屋に戻り
美雨に声をかける。
「美雨、始業式の日に、もう宿題、出たのか?」と聞くと
「宿題じゃない。」
「じゃ、なんで勉強してるんだ?」
「宿題じゃないのに、勉強しちゃダメなの?」と言うので
「ダメじゃないけど・・」
「ねぇ、父ちゃん、大学に行くには高校を卒業しなきゃいけないんでしょ?」
「そうだよ。」
「高校に行くには、中学を卒業しなきゃいけないんでしょ?」
「中学に行くには、まず小学校をちゃんと卒業しなきゃな」
「まだまだ先は長いなぁ。」と言う美雨を見て、圭介が
「美雨は大学に行きたいのか?」と聞く。
美雨は頷き「うん。行ってもいい?」
「もちろん。じゃ、一生懸命、勉強頑張らないとな」
「うん。」

皆も「でも偉いっすね。自分から進んで勉強なんて。」
アカネが「あたし、さっき美雨ちゃんに聞かれたの。早く頭が
良くなるには、どうしたらいい?って。」と言うと、千恵子も
「あたしは、うちはお金持ち?すご~くお金持ち?じゃないよね?って
聞かれたの。」と言い、皆で笑うが
宗さんが「なんでそんなこと聞いたんだ?」と言うと
社長が「子どもなりに色々気を遣って、いい子にしてなきゃって
思ってるんだろうな」と言い、千恵子も「美雨ちゃんが
不安にならないように、あたしたちも気をつけなくちゃね」と言うのだった。


午後。
宗さんが「えぇ?二年生で、もう大学進学まで考えてるの?」と
ビックリした顔で言うと「どういう風の吹き回しだか」と圭介が答え
明生は「大学なんて行かなくたって、俺みたいにハッピーに暮らせるのに」
と言うが、それを聞いた宗さんが「いや、お前みたいにならない様、大学に
行こうとしてるんじゃねぇか?」と言うので
「ちょっとそれ、どう意味っすか」と明生が言いかけるのを遮って
宗さんは「だけど、夢を持つって事はいいことだよな」と言い
「そうですね」と答える圭介。

一生懸命勉強している美雨。

夜。中村家でのご飯。
「美味しそう!頂きます」と美雨が言い、皆で夜ご飯。
「やっぱり皆で食べると美味しいね」とアカネが言えば
千恵子も「家族が増えたみたい」と喜び
社長も「美雨ちゃん、旨いか?」と聞いて、美雨が笑顔で
「うん」と頷くのを見て、笑うのだった。

「圭さん、豊島商事の件、どうしようか?」
「なにそれ?」と千恵子が聞くと
「この間、電話で言われちゃったんだよ。今後は今までの7割の
値段じゃなきゃ、買い取れないって。」と社長が答えた。
「え?今までの7割の値段だったら、原価割れになっちゃうんじゃないの?」
とアカネが言えば、社長は「そりゃ、造れば造る程赤字だよ。なぁ、圭さん」
圭介は「だけど豊島商事は大事な お得意さんだし、断って、これっきりに
なるっていうのも・・」と言うが、千恵子は
「だからって赤字になるって言うのに、わざわざ・・」と言う。
圭介は「考えたんですけど、今回だけは7割でも受けるけど、次回からは
せめて8割じゃなきゃ受けられませんって交渉してみませんか?」
「8割なら、何とか利益も出るか。」
「豊島商事は古い付き合いだし、こっちの事情も ちゃんと説明すれば
わかってくれるんじゃないかと。明日、納品の時、俺も一緒に行きますよ」
と提案し、社長も「圭さんがそう言ってくれるなら、今度だけは
引き受けてみようか?」と答えたのだった。
「じゃ、今夜中に8割の見積もり、書いておきますね」
「頼むよ」
アカネは「二人とも、しっかり交渉して来てね」
千恵子も「中村産業の明日の為に、ブイ!」と言い
美雨も「頑張れ~!」と手を挙げて励まし
皆で「おぅ~!」と気合を入れるのだった。

夜、圭介はPCに向かい、見積もりを作っていた。
終わってベランダに出ると、アカネも母屋のベランダに出ていた。
「明日、上手く話がまとまるといいね」
「頑張って来るよ。少しは恩返ししなきゃ。社長や奥さん、宗さん、明生
もちろんアカネちゃんにも。」と圭介が言うと、アカネは
「あたしは、別に・・・」
「結構ジタバタして遠回りしちゃったけど、今は、ここでだったら
何とか頑張って行けるって気がしてる」
「私も。昔、ここに住んでた時は、ベタベタした人間関係が
面倒くさいなって思ってたんだけど、どうしてだろ?この頃すごく
居心地がいいの」
「だけど、いつまでも、ここにいるわけじゃないんだろ?」
「どうして?」
「いや。再就職とか再婚とか。アカネちゃん、まだ若いんだから」
「大丈夫。ちょっと考えてることもあるし・・。」
「考えるって何?」
「まだ内緒。おやすみ。」と言うと、アカネは部屋に戻って行った。
見送る圭介。

翌日。豊島商事に向かった、富美夫と圭介。
「よし、行くか」
「誠心誠意お願いすれば、きっとわかってくれると思います」
その時、封書を車に残したまま、行ってしまう圭介。

小学校では、美雨が「ナイチンゲールの伝記」を書いた
漫画を図書室で熱心に読んでいる。

「私達だって、何も中村産業さんをいじめようと思ってるわけではありません。
値下げ競争は、時代の流れですから」と専務(長谷川朝晴)が言う。
「そこを何とかもう一度、考え直して頂けないでしょうか?」
と富美夫が言い
「せめて次回からは今までの8割の価格で買い取って頂けたら…」
と圭介も続ける。
「じゃ8割なら、今後も引き続き、やってもらえるのかな?」と社長。
「はい。何とかやりくりして、頑張ります」
「7割なら出来なくて、8割なら出来るという、その根拠は
何なんですか?」と専務。
「見積書をお持ちしました。詳しい経費の内訳も書いてありますから」と言い
カバンから出そうとするが、無い。
「さっき、車で確認してたよな?」と富美夫が言うと
「確認してました。すいません。ちょっと取って来ます。」と圭介は答え
「いいから、俺が行って来る」と富美夫が車に書類を取りに行った。
「どうもすみません」と圭介が謝ると
専務に「今、見積もりを見せて貰えばわかることですけど、ベアリングの
原材料の仕入れ値はキロいくらになりますか?」と尋ねられ
「ベアリングの原材料のスチールはキロ180円で計算しました」
その時、専務の携帯電話が鳴り、席を外した。
社長が「木下さん、確か、娘さんがいたよね?今、いくつだっけ?」
「8歳になります。小学校の2年生になります。」
「かわいいでしょう?」
「はい」
そこへ専務が戻って来た。
「失礼しました。で、180円でしたっけ?いや、キロ180円って
言ったじゃないですか?どこから仕入れているんですか?だから、木下さんが
仕入れを担当されているんですよね。どこからいくらで仕入れているか
把握していないんですか?」
「あの?」思い出せず、答えられない圭介。
「お待たせしました」そこへ富美夫が戻ってきた。
「今、木下さんにベアリングの原材料の仕入れ値をお伺いしたんですけど
教えて頂けなくて・・」と専務が言う。
「圭さん?」
「すみません」
「まぁ、いいじゃないか。中村産業さんとは古い付き合いだ。前向きに
検討させてもらいますよ」と見積もりを受け取った社長が話したが
専務は圭介を不満気に、じっと見ていた。

中村産業に、富美夫と圭介が戻って来た。
「どうだった?」「うちの希望通り、前の8割で買い取ってくれるって?」
「まぁ、たぶんな」「あぁ、良かったぁ~」
と、皆で話していると電話が鳴る。
千恵子が出て「豊島商事さんから」と富美夫に代わる。
先ほどの専務が「取引は当分見合わせる」と言って来たのだった。
「もう一度よく話し合ってみたんですが、おたくの希望する価格で
仕入れるのは、やはり厳しいという結論になりまして・・・。」と言うのだ。
電話を切った後、社長は「8割じゃ買い取れねぇってよ。まぁ
しょうがねぇよな。何も取引先は豊島商事だけじゃないんだ」と言い
美雨が心配して「どうしたの?大丈夫?」と圭介に言うが
「あぁ、大丈夫だよ。飯にしよう。飯に。」と社長が言い、アカネも「美雨ちゃん、麦茶配って下さい」と声をかけ、千恵子も「美雨ちゃんが心配することは
何もないよ 」と言ってくれるが、圭介の顔は晴れない。

部屋に戻っても浮かない顔の圭介を見て
「ねぇ、どうしたの?やっぱり何か困ったことがあった?」
と心配する美雨。
「困ったことなんか、何もないよ。それより図書室で本借りて来たんだって?」
「うん、これ。」と借りた本を見せてくれた。
「お!野口英世にナイチンゲールか」
「知ってる?」
「もちろん知ってるよ。」
「ナイチンゲ-ルは30歳で、やっと看護師になれたんだって。
諦めなければ夢は絶対叶うんでしょ?」と聞く美雨に
「そうだよ。だから美雨も諦めないで、夢に向かって頑張るんだよ。」
と話す圭介。
「うん。」「よし、じゃ風呂、入ってこい」「はーい」

ベランダに出ると、アカネが母屋のベランダに居て
「残念だったね。豊島商事の件。でも、しょうがないよねぇ。
不景気は、どこも一緒だし・・。」
「社長には言ったんだけど、今日の打ち合わせ、俺、ちょっと
やっちゃったんだ。だから…」と言って落ち込んだ様子の圭介にアカネは
「もし仮に、取引してもらえなくなったのが圭さんのせいだったとして
だからどうなの?圭さん、ここで頑張って行くって決めたんでしょ?
私達だって、そういうことが起きるかもしれないって、わかってて一緒に
頑張っていこうって決めたんだよ。こんなことくらいで下向いちゃったら
負けだよ。圭さんも、私たちも。そうでしょ?」と励ます。
「そうだよな。今、自分に出来る精一杯を頑張るしかないもんな。
美雨の為にも」
「うん。そうだよ」

翌日、宗さんと明生に豊島商事の件を話す社長。
「取引してもらえなくなった?」
「豊島商事が無くなると、うちの売り上げガタ落ちになっちまうんだろ?」と
驚き、心配する二人。
「どうするんすか?このままじゃ圭さん支えるどころか、中村産業そのものが
ガタガタになっちまうじゃないすか!」
「大丈夫。豊島商事がダメなら、別の新しい取引先を探しゃあいいんだよ!」
「そんな簡単には…」
「俺達には守らなければならないものがある。こんなことで、いちいち
しょげててどうすんだよ!」と社長が言えば
「そうよ!この間、そうはっきり決めたばっかりじゃないの!」と千恵子が言い
「明生君も、圭さん支えて頑張るって言ってたじゃない。」とアカネも言う。
「前を向いて進むしかねぇんだ。俺たちは。」と社長。
「まぁ、そうっすね。」
「そうだな。たまにはいいこと言うな。社長も。」
「たまに、は余計だよ!」と笑っていると
「おはようございます」と圭介がやって来た。
「おはよう」
「明生、宗さん、実は昨日…」と圭介が言いかけると社長が
「その話は、もう終わったよ」と告げ、頷いて目くばせした。
宗さんが「圭さん、今日から又、前を向いて進んでいこうぜ」
「おい!それはたった今、俺が言ったセリフだよ!」
「いいじゃねぇか。そんなこと」
「よし、じゃ、俺、先に工場行ってます」と明生。
「よし張りきって働くか。」と宗さんも続く。
「社長…。」
「今日も1日、頼んだよ」
「これからも色々迷惑をかけてしまうかもしれませんが
今後とも宜しくお願いします。」と頭を下げる圭介。
「今更、何言ってんだよ。なぁ。」と社長。
「圭さんは、うちのエースなんだから」と千恵子。
「頑張って」とアカネも応援する。
「はい」笑顔で答える圭介。

「おい明生。これ午前中にやっちまうぞ」
「はい。圭さん、これお願いします。」
「はいよ」
仕事を頑張る3人。
富美夫も取引先に電話をかけ「お世話になってます。
今月はどうでしょう?うちに回してくれるような仕事はないかな?と
思いまして…。」と話す富美夫にアカネがカツを入れる。
「えぇ、はい?あぁ、そうですか?いや、もちろん、徹夜でも
何でもして頑張りますよ。」

美雨は図書室で伝記を読んでいる。

病院に行き、古賀と話す圭介。
「じゃ結局、美雨ちゃんとは同居することに?」
「はい。職場の皆に支えられて何とか。」
古賀は微笑み「本当に、幸せですね。木下さんは。」と言い
「自分でもそう思います。」と答える圭介。
「5年後の準備は始めましたか?」
「そのことなんですけど、具体的に何から、どう進めれば?」
「まず考えなければならないのは、病気が更に進行した時
美雨ちゃんと同居するのかしないのか?同居しない場合は、木下さんは
どこに住むのか?」
「受け入れてくれる施設を探しておくってことですか?」
「これは一例ですが、私の身内にも自分の名前もわからなくなってから
慌てて施設を探して、やっと希望の施設が見付かったら既に満員で、1年以上
待たされたということがありました。入居するかどうかは、おいといて
資金の準備の為にも早すぎるということはないと思います。あとは
障がい者手帳や介護保険の申請をいつどのタイミングで、するか?
資産の管理や娘さんの進路について、誰に相談に乗ってもらうか?
もちろん新薬が開発されれば、その準備は無駄になります。しかし現状が
そうではない以上、5年後の自分を想像し、今から出来る準備は
どんどん進めた方がいいでしょう。」
立ち上がり「もちろん私は、木下さんの病気が
これ以上進まない様、最善の努力をさせて頂きます。」と話す古賀に
圭介も「宜しくお願いします」と深く頭を下げた。

圭介が美雨の部屋を覗くと、美雨はベッドで本を読んでいる。
「まだ起きてんのか?明日、学校だろう?
早く寝なきゃダメじゃないか。」
「は~い。」ベッドで横になる美雨。圭介はタオルケットをかけてやり
「美雨は今、8歳か。」
「そうだよ。」
「8歳で二年生ってことは…5年経ったら…?」
「13歳だよ。」
「もう中学生なんだな。」
「当たり前じゃん。どうして、そんなこと聞くの?」
「いや。父ちゃんも年取るわけだ。」
「皆、1年に1歳づつ年を取るんだよ」
「そうだよな。おやすみ。」
「ねえ、父ちゃん、美雨は将来、野口英世さんみたいになりたい」
「お医者さんか?」「うん」
「だけど美雨の将来の夢は…」と圭介が言いかけると
「バレリーナもケーキ屋さんも幼稚園の先生もやめて、お医者さんになる。
野口英世さんみたいな立派なお医者さんになって、美雨が父ちゃんの
病気を治してあげる。」と話す美雨。
「それで急に勉強始めたり、本を読んだりしてたのか。」
「父ちゃんだけじゃなくて、世界中の病気に困っている人を
助けてあげたいの」と言って微笑む美雨。
「おやすみ。」「おやすみ。」
微笑む圭介。

城都大学医学部付属病院では、古賀先生が一通の英文メールを読んでいた。
「親愛なる古賀先生へ
例の件ですが、ご検討いただけましたでしょうか
お忙しいとは思いますが 
我々スタンベール大学アルツハイマー病研究チームは
是非あなたの参加をお待ちしております」
そこへカルテを持って入って来た看護師が
「退職されるって噂、本当なんですか?」と聞くが
古賀は、それには答えず「お疲れさん」と声をかけ
看護師も、それ以上は聞かず「失礼します」と出て行った。
メールを見ながら、考えている古賀。

圭介が和室で、社長夫妻と向き合って座っている。
「これが預金通帳。こっちが美雨名義の。印鑑です。
保険証券は生命保険と学資保険。銀行のキャッシュカードと
このメモが暗証番号です。」
「わかった。じゃ、責任もって、預からせてもらうぞ」と社長。
「偉いね。安月給の中から、ちゃんと学資保険まで
積み立ててたんだね。」と涙ぐみながら言う千恵子。
「それと美雨には言ってあるんですが、今日一日ちょっと出かけるんで
美雨の事、宜しくお願いします。」と頼んで出かけた圭介。

まず菜子に会い「誕生日のプレゼント?えぇ~、圭さんが私の誕生日に
プレゼントくれるの?何がいいかなぁ?」と喜んでいる菜子に
「ごめん。菜子ちゃんにじゃ、ないんだ。」
「え?じゃ、誰に?」
「ん~、ちょっと中学生の姪っ子に」
メモには「13歳 菜子ちゃんに」と書いてある。

次は時計売り場で「すみません、中学一年生の女の子なんですけど‥」と
腕時計を手に店員に相談する圭介。


美雨はアカネと掃除をしている。
「美雨ちゃん、きれいになった?ちゃんと隅まで掃いて下さ~い」
「は~い」「ん?」「は~い」「ん?」「は~~い」
「よ~し」

千恵子に聞いている圭介。
「中学三年生くらいの子に誕生日プレゼント?」
「流行に関係なく、喜んで貰えるものがいいんですけど」
「そうだねぇ・・。」

浴衣売り場で、浴衣を選んでいる圭介。


両手に荷物を抱え、宝石店に入る圭介。
「いらっしゃいませ」

アカネに聞いている圭介。
「18歳の美雨ちゃんに?」
「ちなみにアカネちゃんは、どんなものが欲しかった?」
「えぇ~?」

アクセサリーを見ていると、店員がすかさず
「プレゼントですか?」と声をかけて来た。
照れる圭介。

「美雨ちゃん、行こっか?」千恵子が買い物に美雨を誘った。
圭介が両手いっぱいに荷物を抱えて歩いていると
向こうから美雨と千恵子がやって来る。
「今日ご飯、何にしようか?美雨ちゃん、何食べたい?」
「う~ん、父ちゃんとね、卵焼き作ったことあるよ。美雨。」
「えぇ~?!」などと話している。
慌てて、木の陰に隠れると、健太がやって来て声をかけられる。
「圭さん?何やってるんですか?」
「いいから。あっち行ってろ」
「え?」
見付からない様、向こうに行く圭介を追いかける健太。
「圭さん?圭さん!」

千恵子と美雨とアカネが三人でハンバーグを作っている。
「ねえ、アカネちゃん、これ、なんでパチパチするの?」
「空気を抜くためで~す」
「空気抜いてどうするの?」
「うん?空気を抜くと、美味しくなるんだって」

家電量販店から両手に更に荷物を抱え、出てくる圭介。

美雨が目玉焼きを焼いて、ハンバーグに乗せる。
「あら、きれいに出来たわねぇ。」
「美味しそうねぇ。」と賑やかなご飯作り。

「ただいま」
「圭さん、お帰りなさい」
「お帰り~」と駆け寄り、圭介に抱きつく美雨。
圭介は美雨を抱き上げると「お~ぅ!ただいま」
「見て。この目玉焼き、美雨が作ったんだよ」
「へぇ~!」
「このかぼちゃのお味噌汁も手伝ってくれたんだよねぇ?」
とアカネが言えば「ハンバーグも。」と千恵子も話す。
それを聞いて「すごいじゃないか!」と圭介が言うと
美雨は得意気に「うん。これからも、どんどん新しい料理を覚えて
父ちゃんに食べさせてあげるからね。」と言うと
圭介は「ありがとう。楽しみにしてるよ」と答えた。

ベッドに入り「おやすみなさい」と言って圭介が出て行くと
美雨は起き上がり、伝記を読んでいた。
圭介は、昼間買って来た未来の美雨へのプレゼントを隠した
棚の鍵を開け、封筒にはそれぞれ「13才の美雨へ」から
「20歳の美雨へ」と順に書いていた。
そして、ボイスレコーダーにメッセージを吹き込んだ。
「13歳の美雨、誕生日おめでとう。本当は、こんな録音じゃなくて
直接おめでとうって言いたいし、言うつもりでいるんだけど
もしも美雨の誕生日を忘れてしまったり、わからなくなった時の為に
今、録音しています。中学校は、どうですか?毎日、楽しく学校に
行ってますか?小学校2年生の時の美雨は、お医者さんになりたいって
いう夢を持っていました。その前はバレリーナと、その前はケーキ屋さん。
その前は幼稚園の先生になりたいって言ってました。中学一年生の美雨は
どんな夢を持っていますか?これから先、いろんな人に出会って
いろんな経験をして、考えも変わると思うけど、とにかく夢を持つのは
素晴らしいことだから、美雨には、いつも大きな夢を持って、その夢に
向かって頑張ってもらいたいと思ってます。人生には、頑張っても
どうにもならないことや、くじけそうになる出来事が沢山起こります。
だけど、たとえ夢が叶わなくても、夢に向かって頑張ることが大事だと
父ちゃんはそう思います。本当は美雨が困った時、くじけそうになった時
いつも美雨の傍に居て、相談に乗ってあげたいと思っているんだけど、たぶん
いつか父ちゃんには、そういう事も出来なくなる日が来てしまうと思います。
美雨、こんな父ちゃんでゴメンな。だけど、父ちゃんは、たとえ
美雨の誕生日を祝えなくなったとしても、美雨が大好きです。世界で一番
大好きです。それだけは絶対に変わらない事を忘れないで下さいね。」


メールを読んでいる古賀。
「できるだけ早いご回答をお願いします
その際に一つ提案があります
こちらに来て頂ける場合、被験者の同行をお願いできませんか
是非ご検討ください

スタンベール大学アルツハイマー病研究チーム
代表ジミー・エヴァンズ」
圭介の電子カルテを見つめる古賀。


圭介はメッセージをボイスレコーダーで吹き込んだカードを
「13歳の美雨へ」と書いた封筒に入れた。

美雨はベッドに横になりながら、天井を見つめていた。
机の上には美雨の書いた、お医者さんになった自分と
元気になった父ちゃんの絵があり
「美雨のしょうらいのゆめ
おいしゃさんになって父ちゃんのびょうきをなおす!」
と書かれていた。

**************************

美雨ちゃんがお医者さんになって、父ちゃんの病気を治したい

世界中の病気の人を助けてあげたいと決心した顏は

すごく強い意志と愛が溢れていました。

そして、未来の美雨へのプレゼントを色々な人にリサーチしながら

買い集め、メッセージを録音する圭介。

テレながら買い物している圭さんもかわいかったけど

やっぱり未来の美雨へのメッセージにグッと来ました。

こんなに愛されていて美雨は幸せだなぁ。

この記憶や、記録が、将来、きっと美雨を

強く優しい人にしてくれる。

何より世界一愛してくれた父ちゃんの記憶が

美雨の味方になってくれると思いました。

圭介の美雨への深い愛情も強く強く感じられました。

来週は、いよいよ最終回。

希望が見える結末になりますように☆彡

それから、豊川さんは、もちろん姿もしぐさも素敵なんですけど

声もいいですよね~[黒ハート]

あらためて、素敵な声に聴き惚れました[るんるん]

今回の写真は、フォトギャラリーより

中村産業のみんなと一緒の圭介と美雨
beautifulrain11.jpg

千恵子やアカネとハンバーグを作る美雨と

未来の美雨へのメッセージを録音している圭介
beautifulrain11_1.jpg


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コメント 3

アルマ

周りのみんなの支えも本当に力になっていますよね。
将来の美雨ちゃんへのメッセージ、切なくなりますね・・・
by アルマ (2012-09-16 00:03) 

hatumi30331

切なくて・・・・(涙;)
by hatumi30331 (2012-09-16 07:47) 

サンダーソニア

泣けちゃいます。・゚・(ノД`)・゚・。
by サンダーソニア (2012-09-16 10:06) 

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