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ビューティフルレイン第10話 [豊川さん]

ビューティフルレイン第10話

中村産業で、圭介は美雨の引っ越しや転校に必要な
書類を送ったことを社長たちに説明していた。
夏休み最後の日に病気の事も、ちゃんと説明しよう
と思っていることも。
アカネも「いずれは言わなきゃいけないことだもんね。」と言う。

外に出た圭介の携帯が鳴り、出てみると沼津の義父からで
美雨が「東京に帰ります」と書き置きを残し、東京へ向かって
しまったみたいなのだと言う。
バス会社に問い合わせたところ、東京に3時着のバスに
美雨は一人で乗ったらしい。
「本当に申し訳ない」と謝る義父母。

それは昨日のこと。
祖父母が見ていた書類に自分の名前があることに
気付いた美雨が「それなに?」と尋ねた。
祖父母は嘘を言うわけには行かず「父ちゃんから、又詳しく
話があると思うけど、美雨ちゃんは、このまま
おばあちゃんたちのお家に住んで、二学期から沼津の小学校に
通うのよ」と話してしまったのだ。

圭介が急いで高速バスのバスターミナルに行くと、美雨が降りて来て
何か言いたげな、怒ったような顔で圭介を見ていた。
ひとまず沼津に電話を入れ、美雨に無事に会えたことを報告し
とりあえず今日は家に連れて帰り、明日にでも一緒に沼津に
連れて行くと話す圭介。
「ほんとにごめんなさいね。あたしが余計なことを
言ったばっかりに」と謝る義母に「ご迷惑をおかけしました」
と言って電話を切ると
美雨の方を向き「行こう」と声をかけた。
だが美雨は、それに答えず一人で、どんどん先に歩いて行ってしまう。

家に着き、向き合って座る圭介と美雨。
「手紙に書いた通り、夏休み最後の日に沼津に行って、全部
ちゃんと話そうと思っていた。」と圭介が言うと
美雨は「どうして?どうして美雨だけ沼津に居なきゃいけないの?
夏休みの間だけだって、言ったじゃん!ねぇ?どうして?」
「それは・・・父ちゃんの病気が治らないからだ。」
意を決して、美雨の目を見つめながら話す圭介。
「治らないの?」
「治らないんだ。」
「ずっと?」
「ずっと。」
「なんで?美雨は父ちゃんの病気が治ると思ったから
沼津に行ってたんだよ。夏休みの間だけだと思って、寂しいの
我慢してたんだよ。それなのに。ちゃんと薬を飲んでれば治るって
嘘だったの?」
思わず下を向く圭介。
美雨は続けて「おじいちゃんもおばあちゃんも知ってたんでしょ?
美雨だけが本当の事、知らなかったの?嘘はつかない、隠し事は
しないって、決めたじゃん!」と責める美雨に
「ごめん。ごめんなさい。」と下を向いたまま謝る圭介だったが
美雨の顔を見て「美雨に、どう話したらいいのか、父ちゃん
ずっとわからなかったんだ。」
「治らないって、どういうこと?ずっと物忘れが続くの?」
「それだけじゃなくて、もっと悪くなる。病気が進むと
物忘れだけじゃなくて、色んな事が出来なくなる。」
「色んな事って?」
「電話をかけたり、テレビをつけたり、今まで当たり前に
出来ていた事も段々忘れて出来なくなる。美雨に、ご飯を作ったり
洗濯や掃除をしたり、バレエ教室に迎えに行ったり、お話を
してやることも出来なくなる。最後には父ちゃんは、自分が
父ちゃんだってこともわからなくなるんだ。」
「全部忘れちゃうってこと?」
「そう。」
「美雨の事も?」と涙をためながら聞く美雨に
「美雨の事だけは、父ちゃん、絶対忘れない。死んでも忘れない。」と
力を込めて言い「だけど、この間みたいに、ここで待ってろって
言ったことも忘れて、又、美雨を危険な目にあわせてしまうかもしれない。
だから、いつかは美雨と離れて暮らさなきゃいけなくなるんだ。
早い方がいいって、父ちゃんは思ったんだ。」
「ずっと会えなくなっちゃうの?」
「離れて暮らすと言っても、ずっと会えないわけじゃない。
仕事がお休みの日には必ず美雨に会いに行く。それでもダメか?
父ちゃんは美雨の将来の事をずっと考えて来た。だから、父ちゃんも
我慢するから美雨にも我慢して欲しい。明日の朝、父ちゃんが
沼津に送って行く。お願いします。美雨、わかって下さい。」
と涙を流しながら、心を込めて話す圭介。
美雨は泣きながら、自分が置いて行った四つ葉のクローバーを
じっと見つめている。
そんな美雨をたまらない表情で見つめる圭介。

その夜、社長と奥さん、アカネに話す圭介。
「それで美雨ちゃんは納得したのか?」と社長。
「明日一緒に沼津に行くって・・。」と千恵子。
「わかってくれたと思います。少し落ち着くまで、一緒に向こうに
居てやろうと思うんですけど、何日か、お休みを頂いてもいいですか?」
「いや、それは構わないけど・・。圭さんは結局、夏休みも
取ってないんだし・・。」と社長。
頷くアカネ。

美雨はベッドで考えていたが圭介が来たのを察すると、目を閉じて
寝ているふりをした。
居間で布団に入るが眠りにつけない圭介。
ベッドで眠れない美雨。

翌朝、朝の食卓の準備が整っても、起きて来ない美雨に
「美雨、起きろ。そろそろ支度しないとバスに間に合わないぞ」
と声をかける圭介。しかし、美雨の返事がない。
美雨の部屋に近寄り、窓から様子を窺おうとしても
何か貼ってあって見えない。
「美雨?」と声をかけると「沼津には行かない。」という
美雨の声がする。
ドアを開けようとするが、ドアの前にバリケードを作っており開かない。
「美雨!開けなさい、美雨」
「沼津には絶対行かない!」
「いいから開けなさい!美雨!」
「行かなくていいなら、開ける。」
わずかに開いた、窓の上の小窓のようなところから覗き込み
「父ちゃん、昨夜ちゃんと話したじゃないか。美雨もわかってくれたんじゃ
ないのか?」
黙っている美雨。
ドアをどんどん叩いていると、ベランダの方からアカネの声がした。
「圭さん?どうしたの?」
「美雨が・・・」

アカネが美雨の部屋のドアをノックして声をかける。
「美雨ちゃん?どうした~?ちょっとだけでいいから、開けてくれない?」
アカネは部屋に入れてくれた美雨。
「美雨ちゃんの気持ち、すご~くわかる。だけど、なかなか本当の事
言い出せなかった圭さんの気持ちも、わかるなぁ。アカネちゃんね、前に
圭さんと同じ病気にかかった人と一緒に暮らしてたことがあるの。」
「誰?」
「前の旦那さんのお母さん。最初のうちは、頑張って支えて行こう!
ちゃんと面倒見てあげよう!と思っていたんだけど、現実は
すご~く厳しかった。」
「その人、今どうしてるの?」
アカネは空を差すと「天国にいるの」
「病気、最後まで治らなかったの?」
頷くアカネ。
「父ちゃんの病気も絶対、治らないの?」
「今、世界中のお医者さんが一生懸命頑張ってるんだけど
まだ治せる薬は出来ていないの。圭さんも美雨ちゃんに、あたしのように
辛い思いや苦しい思いをさせたくなかったから、沼津で暮らした方がいいって
思ったんじゃないかな?」とアカネが言うと
美雨は「辛くないよ。」
「え?」
「美雨は父ちゃんが病気でも辛くないよ。美雨が辛くて苦しいのは
父ちゃんと離れて暮らすことなんだよ。父ちゃんが治らない病気だからって
何で離れて暮らさなきゃいけないの?大事な人が困ってる時には、そばにいて
あげなきゃいけないんでしょ?」と言う美雨。
それを部屋の外で聞き、涙をこらえきれない圭介。
ハッとした表情になったアカネは「これだけは、わかってあげて。
美雨ちゃんが父ちゃんの事を心配しているように、圭さんも
美雨ちゃんの事を心から心配しているんだってこと。」と話すのだった。

部屋から出て来たアカネは「圭さん、少し様子を見て、もう一度話してみて」
「ありがとう」
手を挙げて、去るアカネ。

そのことを聞いた中村産業の皆。
「やっぱりね。そう簡単に納得しないと思ってたのよ」と千恵子。
「圭さん、どうするんだろう?」と明生。
「アカネ、圭さん、どうするって?」と聞く社長。
「どうしたのよ、アカネ?」
「うううん。別に」と言って、自分の部屋に戻ってしまうアカネ。

美雨は部屋で考えていた。
圭介が来た気配を感じるが、声をかけることもなく、ドアを
ノックすることもなく、部屋から遠ざかって行く。
美雨も何も言わない。
美雨はアカネに言われたことを思い返し、部屋で
何かを一生懸命書いていた。

圭介がベランダに出ていると、美雨がやって来て
「沼津に行く前に、どうしても父ちゃんに、やって欲しいことが
あるの」と真剣な顔で言う。
「やって欲しい事?」と圭介が聞くと、美雨はさっき書いた紙を取出し
「これ、やってくれたら、ちゃんと沼津に行くから」と言い、差し出す。
紙を広げてみると「父ちゃんといっしょにきねんしゃしんをとる」
と、まず最初に書いてあった。
「父ちゃんと一緒に記念写真を撮るって?」と圭介が言いかけると
「じゃあ、ひとつめ。早く行こう!」と圭介の手を取って
引っ張る美雨。

二人でバス停でバスを待っていると、友達と一緒の小太郎に出会う。
「美雨!帰ってたのか?どこへ行くんだ?」
「父ちゃんと記念写真を撮りに行くの。」
「記念写真?」
「父ちゃんがどうしても美雨と一緒に写真を撮りたいって言うから
付き合ってあげるの」と笑う美雨。
「よく言うよ」と圭介。

スタジオで、たくさんの衣装を前に燥ぐ美雨。
「やっぱ、これかわいい!かわいい?」
「かわいいな」
「でもやっぱり~、これかわいいな。
これとこれ、どっちがいいと思う?」と水色と赤のドレスを手に
圭介に聞く美雨。
「どっちもかわいいな」と言う圭介に
「どっちもじゃなくて、どっちか決めて!」
水色のドレスを着て、おめかしして現れた美雨のかわいらしさに
「おぉ~!」と思わず、にやけてしまう圭介。
美雨は、くるんと回って見せると
「父ちゃんのスーツも。」
「え~?父ちゃんはいいよ」と言う圭介に
「これ、カッコいい!どう?」と、あてて見て
「あ、似合ってる似合ってる!」と笑う美雨。
美雨は何着か衣装を着替えながら、色々なポーズで
圭介と一緒に最高の笑顔の写真を撮ってもらった。

中村産業では皆が昼ご飯を食べながら圭介たちのことを話していた。
「やって欲しい事?」と明生が聞くと、千恵子が「うん、もう一度
沼津に行く前に、圭さんに、お願いしたんだって。」
「それは単なる時間稼ぎだろ?」と宗さん。
「結局、美雨ちゃんは沼津に行きたくないのよ。」と千恵子。
「あ、そういえばアカネさんは?」と明生が聞くと
社長が「それがな、美雨ちゃんと話して来てから、なんだかぼーっと
考え込んじまって・・・なぁ」と言えば千恵子も「うん~」と答える。

アカネはベランダでタバコを吸いながら、美雨の言葉を
思い出し考えていた。
「美雨は父ちゃんが病気でも辛くないよ。美雨が辛いのは
父ちゃんと離れて暮らすことなんだよ」

写真を撮り終えて、スタジオを出て来た美雨と圭介は、美雨の書いた
願い事を見て「えっと次は・・・」
「美雨の好きな絵本を読む。本屋さん、行こう!」と
圭介の手を引っ張り、手をつないで歩く二人。
健太に会って、「どこへ行くの?」と声をかけられると
小太郎の時と同じように「本屋さん。父ちゃんがどうしても
美雨に絵本を読みたいって言うから、一緒に選んであげるの」と言う美雨。
圭介が「美雨!これ、どうだ?」と一冊の本を取って言うが
「これも面白そうだね。でも美雨、やっぱりこれがいいな」
と選んだのは「エラと白鳥のみずうみ」。
その本を買い、「ありがと」と、ほほ笑む美雨。

次は「父ちゃんと一緒に料理をする」
お肉屋さんで買い物をして出てくると、菜子ちゃんに出会う。
「美雨ちゃん!いつ帰って来たの?」
「昨日。さっき、菜子ちゃん家のお店に行ったんだよ。」
「そうなんだ?今日のメニューは、な~に?」
「餃子作るんだよ!父ちゃんが、どうしても美雨と一緒に料理作りたいって
言うから」
「いいなぁ。じゃ、頑張ってね!」「うん」

帰り道。
「じゃ、家帰って、餃子作るか。」
「うん。餃子作る♪餃子作る♪楽しいな♪」と歌いながら歩く美雨。

家に着き、皮を持って来て「じゃ、とりあえず一個作ってみろ」
「ちょっと多いんじゃねぇか?」
「いい。これくらいで。」と言うが、やっぱりはみ出してしまう。
「お、上手い!」「美雨も。」「うまい!」
「出来た~!」
包み終わった餃子を冷蔵庫に入れ、次は・・・と紙を見る。
「父ちゃんに、じてんしゃの のり方を教えてもらう」
「おい美雨、自転車、補助輪が無いと怖いって言ってなかったっけ?」
「もう自転車、ちゃんと乗れるようになりたいの。」
「大丈夫か?」
「うん。」
「よし。じゃ、今から練習するか。」

社長夫妻がアカネが子どもの頃に乗っていた自転車を出してくれるが
「だけど、これ、もうダメなんじゃないか?」と社長は言う。
「ありがとうございます。ちょっと直してみます」と圭介。
しっかり二人でメンテナンスをして、空気も入れ、美雨はヘルメットを被り
練習を始める。
「いいか。大事なのはバランスだ。ハンドルをしっかり持って前を見る」と
圭介が言い、美雨を後ろから押して、途中で手を放すが
美雨は「うわ~」と言うと倒れて転んでしまう。
「大丈夫か?」「ダイジョウブイ」
「もう一回やろう」
「しっかり持って。そうそう。」と手を添えながら練習する。
ちょっと手を放そうとすると「うわ~!」。
もう一度抑える圭介。
そんな二人の様子を少し離れたところで見ているアカネ。
アカネは又、美雨の言葉を思い出していた。

アカネは中村産業に戻ると、そのことを話していた。
「じゃ、今日は自転車に乗れるようにならなかったんすね。」と明生が言えば
千恵子も「良かったよねぇ。乗れるようになっちゃったら、お別れだもんね。」
「だけど、明日には乗れるようになるだろ?」と宗さんが言うと
「あ!わかったぁ~!美雨ちゃんが自転車に乗れるようにならなければ
沼津に行かなくて済むってわけでしょ?だったら、美雨ちゃんに、こっそり
自転車に乗れるようになるなって言っときゃいいんですよ!」と明生が
イイ事思いついた!という顔で言うので、宗さんが「ばか~!美雨ちゃんに
そんなイカサマ、やれって言えるか?」
「じゃ、宗さんは美雨ちゃんが、さっさと沼津に行けばいいって
思ってるんすか?」「誰もそんなこと言ってねぇだろう!」
「じゃ、どうするんすか?」
「だから、それで悩んでいるんじゃねぇか。」
「あ!チャリンコ、パンクさせるとか、どうっすか?」

自分の部屋に戻り、又鏡を見ながら考えるアカネ。
今まで自分が良かれと思って言って来たことを思い返す。

夕食に、二人で作った餃子を食べる圭介と美雨。
「うん、やっぱ二人で作った餃子は旨ぇな。」
「皮の包み方も上手に出来たし・・・ね」
「ホントか?これ、雑になってんじゃないのか?」と圭介が言うと
圭介の指したところを見て、美雨は
「初めてだからしょうがないじゃん。この次は、もっと上手くやります。」
「おぉそうか。じゃ、この次は父ちゃん、すっげぇ期待してるから。」
「へへ。次は、いつ一緒に料理作れるの?」と聞く美雨。
思わず一瞬、黙ってしまい「いいから。早く食え。ほら、沢山食わないと
明日又、自転車の練習するんだろ?」
「うん・・・。」と美雨の歯切れの悪い返事に
「ん?美雨が食わないなら、父ちゃん、これ全部食べちゃうぞ!」
「ダメ~!美雨も食べる!美雨も食べるぅ~!」と
慌てて、圭介の抱えたお皿に手を出して、餃子をつまむのだった。
笑いながら「旨いなぁ」と餃子を頬張る二人。

夜、圭介は昼間買った絵本をベッドの上で、美雨に読んであげていた。
「終わり。じゃ、おやすみ。」幸せそうに笑う美雨。
「おやすみ。父ちゃん!寝るまで一緒に居て」と呼び止められ
「いいよ。」と隣に横になると嬉しそうに圭介にくっついて寝る美雨。

美雨が寝て、圭介がベランダに出ると、アカネが母屋のベランダで
「寝た?美雨ちゃん。」「うん。」
「あたし、間違ってたのかなぁ?美雨ちゃんに言われたことが
ずっとひっかかってて。」というアカネ。
美雨の言葉を思い返すアカネ。
圭介は「俺だって、このまま美雨と一緒に居られたら、どんなに幸せかと
思う。でも、5年先、10年先、美雨の将来の事を考えたら・・。」
「そうだよね。」
「だけど、なんかよくわからなくなっちゃったよ。5年先、10年先の
ために今の幸せを諦めていいのかって。そもそも、そんなものは
比べちゃいけないんじゃないかって。」
答えの出ない問いを考える二人。

翌日、自転車の練習をする美雨と教える圭介。
見守るアカネ。
「ほら、ハンドル、しっかり持たないと」
「うわ~」又、何度も転んでしまうが挑戦し続ける美雨。
中村産業の社長や奥さん、他の皆も見に来てくれた。
「もうちょいでコツ掴むな」と宗さん。
「美雨ちゃん!」と声援を送る明生。
「下を向くな。前だけ見て。ゆっくりでいいから前に進むんだ」と
アドバイスする圭介。頷く美雨。
圭介が手を放すと「うわ~」と言いながらも、今度は転ばずに
こぐことが出来た。
「乗れた!乗れた!やったぁ!」
圭介が美雨を抱き上げる。
皆が寄って来て、美雨はハイタッチする。
「美雨ちゃん、やってもらいたいこと、全部出来て良かったね」
と明生が言うと美雨は「やってもらいたいこと、全部出来たら
沼津に行くから。」と父ちゃんに言ったことを思い浮かべ
「父ちゃん、最後の最後に、もう一つだけ、やってもらいたいことが
あるの」と決意を固めた顔で言う美雨。

「明生、早く。バカでもテーブルくらい作れるだろう」と宗さん。
「いちいちバカって言わないで下さいよ。」
美雨も料理を運ぶ手伝いをしている。
「そういや、圭さん、遅いですね」
「おう、ビール買う予算が足りないんじゃねぇか?
中村産業は財政難だからな。」
それを聞いていた社長が「おごってもらうのに文句言うな。」と
宗さんの頭をはたく。
「肉かぼちゃも持って来ました」と言う美雨に
「お、ありがとう!美雨ちゃん、ちょっと手伝って」と声をかける宗さん。
「はーい」と返事して手伝う美雨。
「嬉しいねぇ。最後のお願いに、皆で、ご飯食べたいなんて
言ってくれて。」と千恵子が言うと、社長は
「だけど、これが最後の晩餐になっちまうんだよな」と言い
アカネも何とも言い難い表情で美雨の顔を見ていた。

ビールを買った圭介が戻ってくると、美雨が明生にあや取りを教えていて
明生が出来ないと「明生、相変わらずバカか?」と父ちゃんの真似をして
言う美雨。宗さんは、それを聞いて大笑い。明生は「えぇ~?!」とビックリ。
「美雨ちゃん、調子に乗り過ぎ」と、さりげなく千恵子がたしなめると
美雨も「ごめんなさい」と素直に謝った。
「圭さんのマネしてみただけだよな。いいんだよ。子どもは正直が一番」と
言って笑う宗さん。
「それ、どういう意味っすか!」と明生が言うと
「あれ、意味わかっちゃった?」
「さすがにわかりますよ!」
笑い合う皆。
その光景を見ながら、圭介は、皆が圭介と美雨の事を精一杯思い
言ってくれたことを思い出していた。

外に立っている圭介に気付いたアカネが声をかけ、入ってくる圭介。
「お金足りた?」
笑い合う皆。

黙っている美雨に気付いた圭介が
「ちゃんと食べてるか?」と声をかけると
美雨は「どうしても沼津に行かなきゃダメ?」と聞く。
シーンとなる。
圭介は箸をおくと「美雨は今、幸せか?」と聞く。
「幸せだよ。美雨の一番の幸せは父ちゃんと一緒に居る事なんだよ」
と笑顔で言う美雨に、皆が胸を熱くする。
千恵子が「圭さん」と声をかけると、アカネが
「ここに、居たら?美雨ちゃんと一緒に、ずっとここに居てよ」と
圭介に言う。
驚いた皆が「だけど、アカネちゃんは、ずっと・・・」と言うと
「あたしは一人で、お義母さんの介護してたけど、美雨ちゃんは違う。
一人じゃない。美雨ちゃんには、あたしたちが付いてるもの。」
「アカネちゃん・・・」
「あたしには介護の経験がある。病気の知識も、その病気を抱えた人と
どう接していけばいいか、一生懸命勉強したの。だから、きっと
圭さんや美雨ちゃんの力になってあげられる。」
「だけど・・・」
「ごめんなさい。やっぱり美雨ちゃんの言うとおりだ。美雨ちゃんの
幸せは美雨ちゃんにしか決められない。」と美雨に向かって笑顔で言う
アカネ。
「父ちゃん、やってもらいたいこと、全部やってくれて
ありがとうございました。記念写真も、お料理も、絵本を読んでくれたことも
自転車に乗れるようにしてくれたことも、すごく嬉しかった。
だけど、それは父ちゃんと一緒だったからなんだよ。父ちゃんと
二人でやれたから楽しかったの。父ちゃんは違うの?美雨は父ちゃんと
一緒に居るのが一番幸せなんだよ。だから、お願いします。父ちゃんと一緒に
居させて下さい。」
「圭さん」「あたしたちもついてるわ」「圭さん」と声をかける皆。
「社長、奥さん、宗さん、明生、アカネちゃん、皆さん、ありがとうございます。
これからも美雨を、美雨の事をよろしくお願いします。」と頭を下げる圭介。
「父ちゃん?」
「美雨ちゃん、良かったねェ」と千恵子。
涙ぐみながらも喜びの宴になった。
顔を見合わせ、笑う圭介と美雨。

**********************************

美雨が東京に戻ってきました。[わーい(嬉しい顔)]

父ちゃんに、いくつかのお願いをしましたが

記念写真を撮った時のおめかしは、とってもかわいかったですね。[かわいい]

久しぶりのカッコいいスーツ姿の豊川さんも見られて[黒ハート]

嬉しかったですし・・・・。

どの願いもささやかなものでしたが、父ちゃんと一緒にいることが美雨の幸せ。

父ちゃんと一緒だから、どれも楽しかったんだという美雨の言葉に

ハッとさせられましたね。

みんなの応援もあって、父ちゃんと美雨が再び、一緒に暮らせることになって

本当に良かったです。

おじいちゃん、おばあちゃんには、ちょっと申し訳ないけれど

やっぱり美雨ちゃんの幸せが何なのかを一番に考えてあげて欲しいですから。


今回の写真は、スタジオで撮った記念写真の撮影風景から。

どれも捨てがたかったので、今回は写真が多めです。
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アルマ

読んでて涙が出てきました。
何が幸せか、考えさせられますね。
by アルマ (2012-09-09 00:20) 

hatumi30331

多くの善意が見えるドラマやね。
泣けるよ・・・ほんまに・・・・・
by hatumi30331 (2012-09-09 06:22) 

Aちゃん

芦田愛菜のような可愛い子なら私も育ててみたい(^^;
by Aちゃん (2012-09-09 15:15) 

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